蓄電池は日本の卸電力市場(翌日市場)でどうやって収益を得るのか — アービトラージの仕組み

結論から言うと、蓄電池は「安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する」ことで卸電力市場の価格差(スプレッド)を収益に変えます。日本ではこの取引が主にJEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場(翌日市場)で行われます。
蓄電池の基本的な収益源はエネルギー・アービトラージです。電力が安い(太陽光が余る昼間など、時にゼロに近い)コマで充電し、電力が高い(夕方の需要ピークなど)コマで放電して差額を得ます。放電計画は蓄電池の充電状態(SoC)と容量の範囲内で組まれるため、物理的に成立する取引だけが実行されます。

日本の翌日市場はJEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場です。1日を30分単位の48コマに分けて、前日にコマごとの価格を入札で決めます。蓄電池は前日に「どのコマで買い、どのコマで売るか」の計画を立て、当日はその計画に従って充放電します。これがアービトラージの中核です。

スプレッド(1日の中の高値と安値の差)が大きいほど収益機会は増えます。日本では太陽光の急増により昼間のスポット価格が大きく下がり、時にJEPXの価格下限(0.01円/kWh)付近まで落ちる一方、夕方は価格が上がるため、昼夜の価格差が拡大しています。九州などでは出力制御(太陽光の抑制)が起きるほど昼の余剰が大きく、充電チャンスになります。

1) 前日にJEPXのコマ別価格予測を基に、安いコマ(充電)と高いコマ(放電)を選ぶ。2) SoCと容量の制約を満たす充放電スケジュールを作成。3) 当日はスケジュール通りに充電・放電。4) さらに需給調整市場(一次・二次調整力など)の入札を上乗せすれば、同じ蓄電池でアービトラージと調整力の両方から収益を積み重ねられます。

日本では2022年度から再エネにFIP(フィード・イン・プレミアム)が導入され、市場価格に連動したプレミアムを受け取る事業者は、蓄電池で市場に合わせて売電するインセンティブが生まれました。系統用・自家消費用の蓄電池には国(経産省)や自治体の補助金制度がある年もありますが、条件は年度ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領で確認してください(制度は変更・終了する場合があります)。
手動では48コマ×毎日の最適判断は現実的ではありません。ストロムフェのオプティマイザーのように、ライブの翌日・当日(インデイ)価格に対して自動でディスパッチ計画を組み、その上に調整力の入札を重ねる方式が、単純な充放電より収益を高めます。ポイントは、価格シグナルに合わせて1つの蓄電池を複数の収益源で稼働させることです。